1981年より制作をはじめた三谷龍二にとって、2021年は作家活動40周年の節目となります。これを記念して、40年におよぶ制作を回顧した書籍を刊行すると共に、この書籍に掲載される作品を展示します。あわせて、器やカトラリーをはじめとした日常使いの品々の展示販売もおこないます。
「生活工芸」という、暮らしのなかで使うものを長きにわたり見つめ、提案してきた三谷龍二。本展では、これまでの制作の全てをゆっくりと振り返りながらご覧いただきます。
A&S HPより
『日本人は古くから弱きもの、貧しきものを愛してきた
完璧なもの、真なるものよりも、侘びたるもの、
草のものを
豪華な宴席より、粗末な庵での一服のお茶を
偉い権力者より、貧者に身をやつし、
弱きを助けるものを
バブル期の虚飾に充ちた贅沢や飽食の日々
それに強く違和感を抱いた人が多くいた
僕たちは噓の泡に溺れて、
見失った自分を取り戻すために、
家族との時間を、身の丈にあった暮らしを、求めた
そのような人たちの求めに応じるように生まれたのが、
生活工芸だったのではないだろうか
作るものは、黄金の輝きも、
目を喜ばす高度な加飾も施されていない
無地で、簡素、退屈なぐらいケレン味のない、普段使いの器ばかり
でも、そうしたものが日本の近代化のなかで失った生活世界を回復するために、
必要だったのだろう
空き家に人が住み始めると、それだけで部屋が生き生きと呼吸しはじめる
それと同じように、空洞化した自分たちの生活世界を
再び、そばに引き寄せるために、
弱く、貧しい工芸のかたちが、求められたのだと思う』
弱さの工芸 2020
三谷龍二著『1981 - 2021 木工房の40年』より
来店に際し、ご予約の必要な期間があります。詳しくは下記 Arts & ScienceのHPをご覧ください。
- Arts & Science
604-0922
京都府京都市中京区東生洲町482-3角
tel:075-253-6782