三谷龍二

三谷龍二 過去の展覧会 2019年

泰勝寺「三谷龍二と10cm」展
12月6日(金)→ 8日(日)
学校の勉強は苦手だったけれど、僕は街から多くのことを学んだように思っています。
喫茶店だったり、商店街だったり、公園だったり。
そこで好きだと思ったことが、体のなかに入ってきて、長い時間のなかで醸成されていく。
僕の作るもののなかにも、その時の一コマ一コマが詰まっているように感じます。

そうしたものを、こんどは街へ返したいという気持ちがあって、それが10cmというお店を持つ、ひとつの理由でもありました。
10cmに訪れたひとが、ちいさなことでもなにかを感じてもらえるような店であったら嬉しい、そんな風に思っています。

三谷龍二

ワークショップ
① 12月7日(土)バターナイフ
② 12月8日(日)アイスクリームスプーン
会場:泰勝寺 庭にて
(暖かな格好でお越しください。)
参加費:¥4500
持ち物:エプロン
ご希望の日時をご明記のうえ、HPよりお申し込みください。
https://www.taishoji.com

- taishoji 泰勝寺
熊本市中央区黒髪4-610
096-223-7113
taishoji.event@gmail.com

銀座松屋 デザインギャラリー1953企画展
「工芸批評」
10月9日(水)→ 11月6日(水)
器を購入し、食卓で使うことも生活者の直感による「批評」ですが、箱書きや賛のように、日本では製作者と使用者が二人三脚で工芸を支えてきた歴史があります。こうした非言語な「批評」は日常的である一方、言語による「批評」は極めて貧しいものでしたが、 2010年を超えた頃から、工芸を言葉で語る新たな人々が登場してきました。そして彼らの言葉からは「工芸」の今日的意味と可能性が見えてきます。

三谷龍二

【出品】
井出幸亮(『Subsequence』編集長)
鞍田崇(哲学者)
菅野康晴(『工芸青花』編集長)
高木崇雄(「工藝風向」代表)
広瀬一郎(「桃居」店主)
監修: 三谷龍二


10月9日(水)関係者によるデザインサロントーク
詳しくは日本デザインコミッティーwebサイトを確認ください。

10月30日(水)→ 11月6日(水)
展覧会に関連した工芸品の販売
於:デザインコレクション

- 日本デザインコミッティー(主催)
銀座松屋7階 デザインギャラリー1953(会場)
東京都中央区銀座3-6-1
03-3567-1211(大代表)

ギャルリももぐさ
「僕の好きなもの」
9月14日(土)→ 29日(日)
大学2年時に購入したアラジンの反射式ストーブを未だに愛用している。中学時代から使っているカッターナイフもあり、物持ちが良いタイプだ。かといって旅先で拾った石のように、用途もないのに溜まっていく物がたくさんある。どちらも宝物である。人は新しさに刺激を受け、生活を活性化させる生き物であるから、どんどん増えていく。みんなどうしてんだろうと、作家のお宅やアトリエにお邪魔すると作品はさておき、棚などを物色してしまう。集められた物はもちろんのこと、収納方法など秘密を知ったようで嬉しくなる。
 三谷家にお邪魔した時、宝箱のような三谷さんが好きな物を並べた箱を見つけた。ミニクーパー、10cmという名のショップ、三谷さんは書く字も小さいが、愛用する車や好きな物もこじんまりしている。そて、アトリエにも宝箱のような小さい物が一杯収まった箱を見つけた。完成品なのか未完成なのかも分からないもの。なんだろうとじっと眺めていたら、三谷さんの作品のアイデアスケッチのようなものではないかと思い始めた。細部まで神経が払われていて飽きがこず、口作りやプロポーションなどのバランスの良いのが三谷さんの作られる器の特徴である。そのような細部への感性を、これらの小さい物を作っているうちに磨かれているのではないか。完成度より、その時の情感を写したものは思いも込められているから、小さくても記憶に残っていく。
 今展では三谷作品の器が、なぜ飽きのこない統一感を持ち続けているのか、その秘密の一端が分かるものも作って頂いた。今まででおそらく一番大きな刳り貫き鉢やテーブル、それに宝箱の中身のような小さいものまで、大小様々。それと柳宗悦の「作物にも二つの生涯がある。作られるまでの前半生と、作られてからの後半生と」の言葉を実際に御覧頂くべく、三谷家で長い時間使われ育っている器を「後半生」の物として参考出品して頂くことにした。作品には作られる前から歴史が始まり、作られた後、人の手に渡ってからもそれが続く。その過程を想像するのがロングライフデザインかもしれないと思った。

百草 安藤雅信

- ギャルリももぐさ
岐阜県多治見市東栄町2-8-16
0572-21-3368

FOOD FOR THOUGT
「子どもの器展」
8月23日(金)→ 26日(月)
私たちは子ども達に、小さいうちから本物の「器」に触れて親しんで欲しいと願っています。
口当たりの良さや手触りの良さ、素敵な器で食べると食事が楽しくおいしくなる事を子ども自身に感じて欲しいですし、大切に扱わないと割れてしまうことも学んで欲しい。
器を大切にする人は食べ方も美しくなるし、美しく食べる人の周りには美しく食べる人が集まり、幸せな輪が生まれます。 子どもに、そんな「はじめての器」を与えてあげるのは、われわれ大人の役割です。
食育が叫ばれていますが、料理だけでなくまずは器から始めるのが正しいと、FOOD FOR THOUGHTは提案します。
子どもと言っても、ベビー向けの器だけではなく、10代の子達にも自分で選んだお気に入りの器で食事をしてほしいという願いを込めて、少し大きめの器も多数準備しています。10代が好きな洋服を選ぶように、好きな器を選ぶ愉しみも感じて欲しいです。
今回は17名の素晴らしい作家達が賛同してくれて、この展示のために子どもの器を作り下ろしてくれました。そしてブロカントのディーラー2名が、今回の為に子供用の器をヨーロッパから買い付けて来てくれました。
上原店、西荻店で同時開催いたします。 ご家族みんなでお越しください。

FOOD FOR THOUGT

- FOOD FOR THOUGT
上原店/渋谷区上原2-33-4
西荻店/杉並区西荻北2-9-15 豊栄西荻マンション113
11:00〜19:00
03-6416-8294

call
「木を削る愉しさ
アイスクリームスプーンのワークショップ+
3人のショートトーク」
8月31日(土)
callでは8月31日(土)に、自然を身近に感じていただけるワークショップを行います。
松本にアトリエを構えて38年。人の暮らしになじむものづくりをされている木工デザイナーの三谷龍二さんをcallにお迎えし、木を削って作るアイスクリームスプーンの作り方を教えていただきます。
今回ご用意するのは桜の木。木目の美しさ、木の手触りの清々しさ、木を削る愉しさを感じながらご自身のスプーンを作ります。

出来上がったスプーンを片手に召し上がっていただくのは、熊本の FLAVÉDO par Lisette 鶴見昂さんがご用意くださるデザート。
熊本のブラックベリーや和栗を使い、中にアイスクリームを忍ばせ、三谷さんの白漆の器に盛り付けます。
熊本の食材を使い生産者と向き合いながら、手作業で丹念にお菓子づくりをされている鶴見さんが、三谷さんの白漆に合うデザートをこの日の為に考案してくださいました。

ワークショップの後には、三谷さんと鶴見さんに皆川が日々の暮らしについてお伺いするショートトークを予定しております。
皆様ご自身で作られたスプーンでアイスクリームを掬いながら、手で、舌で、耳で、身近に自然を愉しむ夏のひととき。
ぜひご一緒にいかがですか。

call

ワークショップ+ショートトーク
8月31日(土)
1)10:00〜13:00 2)15:00〜18:00


場所:call
定員:各回10名
参加費:¥7,500 + tax (アイスクリーム付き)
持ち物:エプロン
*刃物を使う作業となる為、ご参加は中学生以上の方となります。
*白漆の器は非売品となりますことをご了承くださいませ。

お申し込み:8月16日(金)より予約受付開始- https://www.mina-perhonen.jp/metsa/
お問い合わせ:call 03-6825-3733

- call
11:00〜20:00
東京都港区南青山5丁目6-23 SPIRAL5階
03-6825-3733

TIINA the STORE
SONYA PARK OF ARTS & SCIENCE
7月19日(金)→ 31日(水)
ニューヨークにて、ARTS & SCIENCEによる日本の手仕事を紹介する展覧会。
白漆の器を中心に参加します。

- TIINA the STORE
216 Main Street Amagansett, NY 11930

ink gallery
「いまここに繋ぎとめるものたち」
7月13日(金)→ 21日(日)
7月27日(土)・28日(日)
8月3日(土)・4日(日)
8月10日(土)・11日(日)
知能の働きによって文明は進化してきたが、そのために自然との調和を失い、自然から離れてしまった。
sns上では日々の出来事がことごとく情報に変わり、「私」も、「想い出」も、どれも均質で、細かな砂つぶのようになっていってしまう。
そんななかで僕たちは、自分の大切なものをどのようにしてこの世につなぎとめればいいのだろうか。
人には頭脳の働きだけではなく、知恵や工夫という体で知る世界があり、工芸に見られるような、素材、形、テクスチャー、手持ち感など、無意識的なところで選別する優れた知恵の世界もある。
誰にでもわかるそのような具体的な感覚を通じて、
あるいは身近な日用品を使う楽しみの中からそのことを考えていきたいと思う。
深い想い。身近な人。好きな歌。毎日のごはん茶碗。我が家。愛おしいもの。心に残るものたち。
この社会の中に生きるなかで感じる漠たる不安を乗り越えていく為に、まずはすぐそばにあるものとの関わりを回復するところから、はじめたいと思うのだ。

三谷 龍二

- ink gallery
11:00〜18:00
鎌倉市鎌倉山1-19-12
0467-31-0088
JR 鎌倉駅からバス(6番乗り場)
鎌4 鎌倉山行・鎌5 諏訪ヶ谷行・鎌6 江ノ島行
若松下車 徒歩5分

5月24日(金)→ 26日(日) 10cm「無地」
- 六九クラフトストリート vol.7
控えめな「無地」は
その上に模様や装飾が加わると
素材が持つ力はたちまち影に隠れ
自らの魅力を閉じてしまうように思います。

模様や装飾のない「無地」の作品を通して
内に秘めた素材の力強さ
際立つフォルムの美しさをご覧ください。

参加作家:
金森正起 
金属
辻 和美 ガラス
冨沢恭子 布
三谷龍二 木
山本亮平 陶

- 六九クラフトストリート
11:00〜18:00(26日のみ 〜17:00)
長野県松本市大手2丁目 六九通り
企画問い合わせ:10cm
0263-88-6210(11:00〜18:00 月〜木曜定休)
info-69@69-matsumoto.jp


5月24日(金)→ 26日(日)
六九クラフトストリート Vol.7
「すぐそばの工芸・考」

暮らしのすぐそばにある食器や道具のこと。
そして自分たちの住む町もまた、
すぐそばにあるものです。

・Roundabout / OUTBOUND
・森岡書店
・gallery yamahon
・工芸青花
・さる山
・minä perhonen
・10cm

「すぐそばの工芸・考」トークイベント
5月24日(金)18:00〜20:00

恒例の出展者によるトークは、今年は信毎メディアガーデンにて、2時間半三部構成で開催いたします。

1部(50分)
小林和人(Roundabout、OUTBOUND店主)
山本忠臣(建築家、gallery yamahon主宰)
竹俣勇壱(彫金師)
菅野康晴(工芸青花 編集長)
三谷龍二(木工デザイナー、10cm店主)

2部(50分)
井出幸亮(編集者)
猿山修(デザイナー、ギュメレイアウトスタジオ主宰)
森岡督行(森岡書店代表)
皆川明(minä perhonenデザイナー)

3部(50分)
お客様も含め全員参加 <質疑応答>

会場:信毎メディアガーデン 1階 ホール 長野県松本市中央2丁目20-2
定員:180名 会費:1,000円
チケット販売:www.mina-perhonen.jp/metsa/EV/0369/index.html チケット問い合わせ:minä perhonen 松本店
0263-38-0137(11:00〜18:30 水曜定休)

- 六九クラフトストリート
11:00〜18:00(26日のみ 〜17:00)
長野県松本市大手2丁目 六九通り
企画問い合わせ:10cm
0263-88-6210(11:00〜18:00 月〜木曜定休)
info-69@69-matsumoto.jp

5月18日(土)→ 6月2日(日)(火曜休廊)
「小さな時間 Ⅵ 五月の舟」
gallery yamahon Gallery 2

小さな時間
二〇一九年の年明けから約三ヶ月の工事期間を終え、この春ギャラリーやまほんにもう一つ新たな展示室が完成した。第一回目の企画展は木工デザイナー、三谷龍二の展覧会。木の器で知られる三谷の仕事だが、一方では小さな立体作品やテンペラ画などの作品を木の器の制作の合間に作り続けている。サイコロのようなもの建物、人物、動物そして今回のDMにある舟の形。これらの抽象的な立体作品は三谷の木の器にみる穏やかで豊かな暮らしの空気感とは少し異なる。彫刻的な強さはなく、どこか儚く、寂しげでもある。閑寂な場所で耳を澄ませ、作品の小さな声に耳を傾けるとその舟は自分の心の奥へと向かうようにゆっくりと動き始める。このような感覚やこうした時間を私たちは小さな時間と名付け話し合い、愉しみ、この企画を続けてきた。個人的な小さな時間が豊かに深まることを願って。

店主 山本忠臣

作家在廊日:初日5月18日(土)

- gallery yamahon
11:00〜19:00(会期中無休)
〒518-1325
三重県伊賀市丸柱1650
tel/fax 0595-44-1911

4月20日(土)→ 28日(日)
minä perhonen elävä Ⅰ「白ノ日」

白という存在。

私にとって白は色ではなく
場のように感じている。
だからかもしれない。
三谷さんの白漆の器からは紡がれた言葉や景色や音色が浮かんでくる。

器に耳を澄ませば
草原を抜ける風、遠くの口笛、躍る木洩れ陽が心に映る。

日々の暮らしの小さな記憶をこの器と共に刻めたらと想いを馳せて
心象の在るひととき。

白ノ日。

皆川 明

作家在店日:4月20日(土)

*オープン時間よりも早くお並びいただいたお客様には、オープン時間1時間前より整理券をお渡しいたします。整理券の番号順に、対応させていただきます。
*多くのお客様に楽しんでいただけますよう、作品の購入数に制限を設けさせていただきます。

トークイベント
4月20日(土)19:30〜20:30
参加費:¥1,000 + tax(ワンドリンク付き)
定員:40名
*お申し込みについては、online store metsäにて、4月11日(木)正午頃よりご予約受付いたします。
お問い合わせ:elävä Ⅰ 03-6825-3037

- minä perhonen elävä Ⅰ
11:00〜19:00(会期中無休)
〒101-0031
東京都千代田区東神田1-3-9
03-6825-3037

3月9日(土)→ 17日(日)
「コーヒーと木の器」展

おいしい便
3月9日(土)cimai
・パンとコーヒー豆の販売
・軽食、甘いものとオリジナルブレンドコーヒーの喫茶
(無くなり次第終了)

3月10日(日)~ 迷羊舎・ぐりこーひー
・お菓子とコーヒーの喫茶
(無くなり次第終了)

- gallery fudoki
〒174-0043
板橋区坂下3-8-6
03-3535-5020

2月19日(火)→ 24日(日)
森岡書店『“佇まい”の本』展

ものには場の空気を変える力がある。日本では、もののまわりに立つ気配を「佇まい」と呼んできました。6人の工芸作家が、その気配を表現した展示会が2015年よりパリを皮切りに、ニューヨーク、ミラノ、サンフランシスコで開催されてきました。
このたび、森岡書店では、「佇まい」の観念や作品をまとめた小冊子(¥1000)の出版を記念して、小冊子とともに6人の作家の作品を展示・販売させていただきます。

森岡書店

参加作家
安藤明子(衣服)、安藤雅信(陶芸)、岩田圭介(陶芸)、岩田美智子(オブジェ)、辻和美(ガラス)、三谷龍二(木工)

トークイベント
日時/2月19日(火)18時45分会場、19時開始
場所/森岡書店特設会場
登壇者/安藤雅信(陶作家)、岡本仁(編集者)、辻和美(ガラス作家)、三谷龍二(木工デザイナー)、森岡督行(聞き手/森岡書店)
参加料/¥3800(冊子付き)

参加希望の方は、森岡書店まで電話(03-3535-5020)にてお名前とご連絡先、人数をご教示ください。

- 森岡書店
東京都中央区銀座1-28-15 鈴木ビル
03-3535-5020

1月31・2月1・2・3日(木金土日)
2月7・8・9・10日(木金土日)
工芸青花 「生活工芸 - ふぞろい」展

2018年1月につづき、2019年も「生活工芸」展をおこないます。前回のテーマは「ふつう」でした。今回は「ふぞろい」。前回の辻和美さんの出品作「duralex picardie reproduction」(上)をみて考えたことでした。大量生産の工業製品を手工芸で写すこと。つまり普遍(ふつう)でありつつ特殊(ふぞろい)でもあること。それが「生活工芸」の作家たちが今世紀初頭におこなったことでした。それは、その自覚的な不合理性において、手工芸の「歴史の終り」をつげるものではなかったかと、このごろ思うようになりました。

工芸青花HP

参加作家
安藤雅信(陶)
辻和美(ガラス)
三谷龍二(木工)

終わりと始まり
『大量生産の工業製品を手工芸で写すこと。つまり普遍(ふつう)でありつつ特殊(ふぞろい)でもあること。それが「生活工芸」の作家たちが今世紀初頭におこなったことでした。それは、その自覚的な不合理性において、手工芸の「歴史の終り」をつげるものではなかったかと、このごろ思うようになりました。』とは、工芸青花の菅野さんが今展のお題にした「ふぞろい」展のコンセプトである。
これを補足するならば、19世紀の終わりにカメラが発明され、芸術家と機械文明の仕事の奪い合いが現代でも続いていることを証明している。民藝運動が始まった頃は機械文明と敵対してきたが、我々は機械文明の恩恵を受けてきた世代であるからか、享受しながらも機械に出来ないことを手工芸で考えてきた。しかし、菅野さんは「手工芸の歴史の終わり」と言う。一体何が終わったのか。そこに工芸と生活工芸の相違点が潜んでいる。付け加えるのなら「手工芸の歴史の終わり」であり、「生活工芸の始まり」であるということだろう。

安藤雅信


ふぞろいの考察
「ふぞろい」と聞いた時に良い意味なのか? 悪い意味なのか? と少し考えた。そういえば、去年も「ふつう」がテーマだったな、ただの「ふつう」ではなく、私たちが現在手で少量ずつ、作っていくものに、本当は「ふつう」なんてない。「特別なふつう」なんだという結論に、dularex のリプロダクトを作ってみることにより、たどり着いた。さて、今回の「ふぞろい」はどうなんだろう? ふぞろいな器は、多分、好む人と好まない人がいるだろうな、と最初に考えた。やはり、作りながら、答えを探していく。何個も作り並べてみる。これはマルで、これはバツ。6個選ぶ時に、ここまでなら、揃ってみえるが、これをもう1個入れるとふぞろいに見えるなどを繰り返す。今回の練習台は、白いリム皿にしてみた。答えは「揃ってみえるふぞろい」に到達した。気持ち良いのは、手で作った時に起きる誤差だ。サイズなどは同じところを狙っているのだが、やはり人間が作るものだから、そこに生まれるラッキーな誤差(特に私の場合は、いつまでたっても上手くならないので、誤差が大きいのだが)の塩梅が今回のテーマではないかと思う。

辻和美


ふぞろい
木は同じ樹種であっても、土地や環境によって一本一本、色も木目も違っている。木材はそのようにどれも不揃いで、そのことから工業素材としては敬遠されてもきた。そして一方では、出来るだけ均質な素材にするべく、合板や集成材へと変えられていったが、工業化により効率よく、扱いやすくなった分、木としての魅力は当然失うことになった。それは誰の目にも明らかなことだろう。
そして、こうした均質化・工業化によって魅力を失っていったのは、木材だけのことではなかった。ガラスも陶磁器も均質化し、ノイズや不揃いを排除するようになって、どれも綺麗になりすぎたように思う。そしてどこか冷たく、気持ちの引っ掛かりが持てず、使う喜びが遠のいてしまったのだった。
生活工芸は、この「もの」を使う喜びを取り戻そうとしたのだと思う。そのために素材を吟味し、過不足のない手を掛け、今の暮らしに生活品を引き寄せよせようとした。例えば工業製品と生活工芸を並べて写真に撮れば、その違いはわからないかもしれない。それはほんの少しの違いでしかないからだ。でも、その小さな違いは、暮らしの中では豊かさや、心地よさとして実感することができる。それは決して小さなことではなく、疎かにできない生活の喜びであり、質なのではないだろうか。

三谷龍二


- 工芸青花
東京都新宿区横寺町31-13 一水寮101(神楽坂)
tel 03-3266-5378




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