三谷龍二

三谷龍二 展覧会スケジュール

9月19日(土)→ 24日(木)
「道草 Grass on the Wayside」
45Rギャラリー茶馬亭(銀座)
現在、ヒトは毎日膨大な量の情報と向かい合いそれを処理している。狩猟採集時代からヒトの脳の容量は変化していないそう だから、処理できる情報量には限界があるはずだ。そこで、タイムパフォーマンスが強調される。タイパとかコスパとか、あまりうれしい言葉ではないのだけれど・・・。
日常使いの器を商う店を続けながら、時々使えないものを展示したり、紹介してきた。それは、タイパもコスパも関係ないさという、僕なりの寄り道、道草のたのしみだった。
そして、用途性のないものを展示しながら、ふと考えた。「使えるもの」と「使えないもの」って、二項対立的、双極的なものなのだろうかと。
毎日の食卓のためにと買ってきた大皿が キャビネットの上に置かれることで空間を引き締める。それはひとつのオブジェとして機能しているのかもしれない。あるいは、オブジェとして制作された壁掛けも、リビングや書斎の空気をそっと変えてくれる。これは用途性を発揮しているといえないだろうか。西洋の人たちはファイソアートとアプライドアートは違うという。それはそうかもしれないが、その国境線は必要か?僕たちはそこをもっと自由に往還し、自在にたのしんできたのではないだろうか。
三谷さんは今展で、本筋のお仕事である、日々の暮らしを彩る器たちに加えて、楽しい道草の途上でできた、「役に立たないけれど、必要なもの」を展示してくださるという。
「使えるもの」も「使えないもの」も、僕たちは使いつつ眺め、眺めつつ使ってきた。美しいものに囲まれ、好きなものを使って今日一日を過ごす。
ほんとうに必要なものは「情報」ではない。手で触る。目で見る。
さまざまな感覚器官を使って味わってみる。カラダを通過したヨロコビを深く反割する。
処理すべき情報が過多であるがゆえに、僕たちはいつでも「情報」に還元できないなにかを求めている。

茶馬亭キュレーター 広瀬一郎



【About this Exhibition】
木の器を作る仕事の合間に、少し道草をして、これといって用途のないものも時々作ってきました。決められた目的や役割からひととき離れ、別の時間に身を置く。その没入感は心地よく、仕事の合間に訪れるそんな寄り道の時間は、私にとって小さな楽しみでもあり
きっと皆さんも経験があると思います。引っ越しの荷物をまとめている最中に、棚の奥から出てきた古い本を何気なく開き、つい読み耽ってしまったことが。本来向かうべき場所があるにもかかわらず、思いがけず別の世界へと入り込んでしまう。その時のような楽しさが、道草にはあるように思います。
とはいえ、私の「道草」は、糸の切れた雨のように現実を捨てて自由気ままに漂うものではありません。しばらく寄り道をしても、やがてブーメランのように元の場所へ戻ってきます。
ものづくりにもさまざまなあり方がありますが、私は自分のロマンだけを追い求めるよりも、家族や他者、社会との関わりの中で生きることを大切にしてきました。日々の暮らしには面倒なことも多く、いつまでたってもすっきりとは片付きません。それでも私たちは、その終わることのない日常と向き合い、躓き、逡巡しながら生きていくしかないのだと思います。
今回の展覧会の打ち合わせでは、「使えるもの、使えないもの」という話題が出ました。器のように役に立つものだけでなく、その傍らにある、人の手の温もりを宿した「役に立たないもの」も、私たちはどこかで必要としているのではないだろうかと。
情報や効率が優先される時代では、役に立つことや意味のあることばかりを求めていると、息苦しくなることがあります。だから時には、その仕組みから少し外れてみる。見知らぬ路地や空き地を見つけて、しばらく道草をしてみる。
そうした寄り道が、心に風を通し、また歩き出す力を与えてくれる。そんな風に思うのです。

三谷 龍二



- 45Rギャラリー茶馬亭
東京都中央区銀座5-6-15
セイコー銀座五丁目ビル4階



7月18日(土)→ 8月30日(日)
「生活工芸展2026」gallery yamahon
同時開催「作り手の愛用品 ー 飯碗と汁椀 思想の手触り ー」
本年も伊賀市内の三会場を舞台に、「生活工芸展2026」を開催いたします。
史跡旧崇広堂およびギャラリーやまほんでは、全国で活躍する69名の工芸家による作品の展示・販売を行います。また、入交家住宅では特別展示として、「作り手の愛用品 ― 飯碗と汁椀 思想の手触り―」を開催いたします。
日々手を動かし、ものづくりに向き合う人々の暮らしの断片に触れることで、来場される皆様にとっても、生活の中にある美しさや豊かさを見つめ直す機会となれば幸いです。

gallery yamahon HPより



【About this Exhibition】
伊賀のギャラリーやまほんで、18日より「生活工芸」展が始まります。
毎年やまほんで重ねられてきたこの展覧会は、「生活工芸」という枠を広げ、暮らしと工芸、そして社会とのつながりを深めるよい機会を作ってきました。
訪れた人々は、会場で道具と出会い、それを日々の暮らしの中で繰り返し使う経験をされたことでしょう。その営みを通じて、器はいつしか、それぞれの家に溶け込み、当たり前の存在になっていきます。いつしか作り手の名は消え、ただの「日常の器」へと還っていく。その幸福な日常の景色を、この展覧会は静かに支え続けているのだと感じます。

以下は同時開催の作り手の愛用品「飯碗と汁椀」に寄せた文です。

「ウチの飯碗と汁椀」
このアウトラインの椀を僕が最初に作ったのは1990年代のことでした。以来、寸法を変え、彫りを加え、同型のバリエーションを幾つも作り続けてきました。 飯碗は内田鋼一氏のものです。てらいがなく、日常の平らかな気分を受け止める「程のよさ」が気に入っています。
いつも思うのは、器はほんの少し形や仕上げを変えるだけで、印象が大きく違ってくるということ。椀型は長く作り続けられてきた形でありながら、いつまでもその新鮮さを失わない。器の魅力の源泉は、そういうところに隠されているのだと思っています。

三谷 龍二



詳しくはgalley yamahonのHPをご覧ください。
- gallery yamahon
三重県伊賀市丸柱1650
tel:0595-44-1911



六九工藝祭2026
5月29日(金)12:00-17:00
30日(土)10:00-18:00
31日(日)10:00-17:00
【About this Exhibition】
毎年五月、クラフトフェアには全国の作家たちが集い、六九工藝祭には各地のギャラリーが集います。
「六九工藝祭」は、2012年に始動した「六九クラフトストリート」がコロナ禍による中断を経て、2022年に名称を改め再開した活動です。
日本では、ものづくりと並走するかたちで、選者の存在が重要な役割を担ってきました。その背景には、モノやコトに触れたときに生じる「こころに動き」を尊ぶ文化があるように思います。たとえば、花が散る様子にふと心を動かされるように、目に見える「もの」だけでなく、受け手の内に生まれる「あはれ」とも言うべき感応が、大切にされてきました。
六九工藝祭は、作り手が集うクラフトフェアに対し、選者として活動する人々が集う場です。「もの」と「眼」とが交わるなかで、工藝文化の今日的な意味をあらためて問い、その豊かさを伝えていければと考えています。

三谷龍二



⚪︎ 「私たちは工芸の何に惹かれるのか」
出品者:三谷龍二・猿山修・皆川明・オオヤミノル・山本忠臣・竹俣勇壱・小林和人・前田大作・小山剛
会場:ギャラリー69(マツモトアートセンター2F)

ものや情報が溢れる日常のなか、私たちの心を揺さぶる芸術は、映画や音楽、文学と多岐にわたります。しかしそのなかにあって「工芸」が、今も作り手を惹きつけ、特別な光を放ち続けているのはなぜでしょうか。
日常に溶け込む何気ない道具でありながら、工芸には大切な人の記憶や体温、そして人とものとが刻んできた長い時間が宿っています。
本展では、出品者たちが綴る「言葉」と、愛着を持って接してきた「もの」を通じ、工芸の魅力の源泉を紐解いてみたいと思います。


⚪︎ トークイベント
5月229日(金)18:00-20:00(17:30受付開始)

第一部:「8:2」
小山 剛・小林和人・オオヤミノル
第二部:「私たちは工芸の何に惹かれるのか」
皆川明・三谷龍二・展覧会出品者

会場:松本市博物館 講堂
参加費:¥2,500(税込)(定員100名)

【入場予約】
minä perhonen HPのonline storeからお申込みください。
- https://www.mina-perhonen.jp/online_store/


⚪︎ アーティスト・キュレーション vol. 04「8:2」
キュレーター:小山 剛
出品者:安部仁美(竹)岩田哲宏(陶磁)YOHEI KIKUCHI(コンクリート)小山 剛(木)
会場:旧油三洋品店



4月10日(金)→ 26日(日)
「A Blessing in the Everyday」
MONOHA(韓国)
【About this Exhibition】
日常への祝福

日々、膨大な情報やモノが私たちの前を通り過ぎていきます。その速さの中で、自分と世界との繋がりは薄れ、暮らしはどこか空虚になり、自分自身の輪郭さえも見失いそうになることがあります。
そんな時、私たちが毎日手にする器や道具は、「世界が私たちに触れる結び目」としてそこに在ると感じるのです。私たちは、モノを介して世界の手触りを知覚する。そしてその感触が、浮き足立ちそうな心を、この世界にしっかりと繋ぎ止めてくれる役割を果たしてくれているように思うのです。
生活工芸とは、単に眺めるだけでなく、「使う」ための工芸のこと。その特質は、日々の暮らしの中で手に取り、共に時間を重ねることにあるでしょう。人とモノが触れ合う中で、単なる「道具」だったものが、次第に親密さを増し、いつしかかけがえのない存在へと育っていく。その小さな変化のなかに大切なことが埋められていると思うのです。
愛着のあるものに触れるとき、私たちは深い安心感に包まれ、そこが自分の居場所(家)であることを実感します。その瞬間、私たちは「世界の中に静かに住んでいる」という確かな手応えと、ここに存在することの安らぎを得られるのです。
工芸の本質は、単なる美しさや、便利さにだけあるのではないのです。何より人々の暮らしに深く寄り添い、静かに心を支え続けることにある、そんな風に思うのです。

三谷龍二



monoha hannam
36,Dokseodang-ro,
Yongsan-gu,Seoul




3月20日(金)→ 4月19日(日)
「A small good thing」
factory zoomer /life(金沢)
心の中に強い思いがあるが故に、現実と理想の間をブランコのように揺れる日々。それをなんとか、おさめながら送ってきた作家人生。決して最初から確固たるものがあったわけではなく、社会とのやりとりの中で、モノを作り、社会と関係を紡いでいった。その結果の形が今の三谷さんなのかもしれない。三谷さんはそれを「応答」と呼んでいる。暮らしの中で、こういうモノが欲しかったという生活者の声に耳を傾け、人とモノ、人と暮らしを繋いできた。例えばそれは瓶の中のオリーブを掬うための穴あきの小さな匙だったりと、人が目もくれない小さな道具たちに彼は価値を見出した。小さいものが積み重なり人の気持ちに変化を起こさせ、社会に良き循環を生み出す。人が人のことを思い、手で作ったモノには、「使う」というだけではない別の「力」がある。心の中に秘めた三谷さんの思いは今、確実に手渡されていっている。 

店主:辻和美(factory zoomer HPより)






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