木材という有機質素材は、全部が全部と言っていいくらい違った表情を持っています。鉄板だったらどこを切ってもだいたい均質なのですが、木材は誰がどこを選ぶかで、随分できあがりの表情が違ってきます。その点が最も工業化に向いていない素材というところなのですが、もちろんそこが木の仕事の面白さでもあるわけです。
ですから同じ種類の、クルミならクルミという木であっても、人によってどんな感じのクルミが好きかというのはまちまちです。少し黒みがかった癖の強い表情のクルミを選ぶ人。オレンジがかった赤みのある、木目の通った素直な表情のクルミが好きな人。肌触りは柔らかなところがいいけれど、強度を必要とするところは硬いことが必要になってきます。それに作りだすかたちの違いが加わると、同じ樹種から作られたものであっても、随分違った表情をあらわしてきます。 ですから、丸太を選ぶ「選木」や、木のどの部分をどう使うかを考える「木取り」が、木工の仕事では、大切なものになってきます。
ことにオイルフィニシュで仕上げられるものは、ここで選ばれた木の表情が、そのままずっとかたちあるあいだ残るのですから。 |