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山桜 胡桃
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木材という有機質素材は、全部が全部と言っていいくらい違った表情を持っています。鉄板だったらどこを切ってもだいたい均質なのですが、木材は誰がどこを選ぶかで、随分できあがりの表情が違ってきます。その点が最も工業化に向いていない素材というところなのですが、もちろんそこが木の仕事の面白さでもあるわけです。
ですから同じ種類の、クルミならクルミという木であっても、人によってどんな感じのクルミが好きかというのはまちまちです。少し黒みがかった癖の強い表情のクルミを選ぶ人。オレンジがかった赤みのある、木目の通った素直な表情のクルミが好きな人。肌触りは柔らかなところがいいけれど、強度を必要とするところは硬いことが必要になってきます。それに作りだすかたちの違いが加わると、同じ樹種から作られたものであっても、随分違った表情をあらわしてきます。 ですから、丸太を選ぶ「選木」や、木のどの部分をどう使うかを考える「木取り」が、木工の仕事では、大切なものになってきます。
ことにオイルフィニシュで仕上げられるものは、ここで選ばれた木の表情が、そのままずっとかたちあるあいだ残るのですから。





クリ(栗)ブナ科
 クリの実は誰でも知っていますが、木材としてのクリは、知らない方も多いのではないでしょうか。殻の固さからか、堅い木という印象が強いようですが、ナラなどに比べると随分柔らかく、加工性もよい木です。(もちろん木材は同じ木でもその堅さはまちまちで、一概にいえないところもありますが)
栗の板は、手で触れるとほんのりと暖かく感じます。空気をたくさん抱えていることと、木肌も柔らかく優しいからです。我が家の床材に栗を選んだのはその特徴からです。冬に素足で触れても冷たくなく、感触も優れていると思います。(多少傷が付きやすいということはあると思いますが)それに時間がたつと、いわゆる栗色に変化して、さらに時間がたつと飴色になってくる経年変化の味わいもいい木だと思います。ほかに木馬などの子供の玩具にも使いましたが、ぶつかっても危なくなくていいと思いました。
そんな優しい木材なのですが、水には国産材のなかでも最高といわれるくらい強い木として有名です。家の土台や、鉄道の枕木などにもかってはよく使われた木です。
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ヤマザクラ(山桜)バラ科
五月頃の山を見ると、新緑のなかにポッポッと、ピンクのヤマザクラが咲いているのは、とても美しいものです。
桜の種類は原種に加え、ソメイヨシノのように改良種を含めると大変種類が多い木です。さらに木材の世界では、カンバの類をサクラあるいはカバザクラして取り扱う習慣があるために、種類はもっと多くなります。でも、樺材はカバノキ科、桜材はバラ科。やはり全く違った材ですし、並べてみても、桜材は樺材に比べ、木目もはっきりしていて、木肌も緻密、色合いも匂い立つような赤みを持っているように思います。(これは桜好きの偏見でしょうか?) 一般に山桜と呼ばれているものは、あの吉野の桜のことだそうです。この品種は本州、四国、九州、朝鮮にも分布しています。一方、僕の使っている北海道の桜はこれとは少し違う種類で、ミヤマザクラ、エゾヤマザクラといわれる桜です。 サクラ材の心材は、褐色または赤褐色。そこに緑色を帯びた濃色の縞が入っているのが特色です。ただ僕はこの青筋があまり好きでなく、できるだけ赤味のある、縞の入っていない丸太を探しています。
用途は家具、楽器、器具。それから浮世絵などの版木に使われました。緻密で粘りのある木質であるため、細い線を残しても欠けなかったからです。また樹皮を使った樺細工も有名ですし、樹皮を煮詰めてウールや絹を美しい赤褐色や灰色に染めることもできます。
また桜餅は、桜の塩漬けしたものを使いますが、これは葉が抗菌の役割を果たすそうです。
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森の仕事



ミズナラ(水楢)ブナ科
一般にはナラと呼ばれることが多いですが、正確にはミズナラです。日本は大量の外国材を輸入しているにもかかわらず、北海道では良材のミズナラが採れるため、明治時代から今日まで輸出されている珍しい樹種です。欧州では、これをオタル(小樽)オークと呼び、主に最高級の棺材としての使われるそうです。今や観光地になっている小樽の煉瓦倉庫群は、輸出が最も盛んだった頃、港にナラ材を集めるために造られたものです。煉瓦倉庫に、どことなく西洋の雰囲気がが感じられるのは、そんな事情からかも知れません。
年輪に沿って大きな導管が芯を中心にして環状に並んでいるため(これを環孔材と呼ぶ)年輪がはっきりしています。柾目面では”トラフ”と呼ばれる杢(もく)がでます。
用途としては、テーブルなどの家具。器具、床材、洋酒樽、造船、木炭、運動具、棺材、合板などがあります。
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オニグルミ(胡桃)クルミ科
主にクルミ材として使われるものは、日本ではオニグルミです。クルミは熱を通しにくいという性質を持っているため、西欧でも、日本でも、銃床にクルミ材が使われてきました。西洋のクルミ材(ブラックウォルナット)に比べるとやや柔らかな材ですが、それでも適度な強度を持ち、手や腕が触れたときの感触やグリップ感も良く、キャビネットなどの家具、木の器などにも適しています。また使い込むほどに味わいを増す、経年変化の色艶もとても良い木です。国産の胡桃の実として売られているものは、果実を目的に栽培されたテウチグルミという種だそうです。また、軽軟で白く、木目もはっきりしないサワグルミは、マッチの軸や下駄(山桐といわれた)に使われてきました。
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ハルニレ(楡) ニレ科
ハルニレはよく北海道の風景写真にでてくる、広大な緑の丘の上に大きく枝を広げて緑陰をつくっている、立ち姿のよいあの木です。同じ属のなかにハルニレ、アキニレ、オヒョウニレとあり、どれも木材として使用されていますが、木肌の色がややグレーがかった褐色のハルニレはその中でも最も良材です。導管とは、木が水を吸い上げるパイプのことですが、それが大きいため製材したてはいっぱいに水分を含んでいてとても重いことがあります。肌目は粗く、木目もはっきりしていて、使うと、どことなく和風の雰囲気がある木だと思います。



MITANI RYUJI, 三谷龍二 木の器


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